こんにちは、dom株式会社CEOの浦林文野です。
投資の世界で私が最も大切にしている言葉があります。それは「攻めよりも守りが難しい」というものです。利益を追いかけることは誰でも興奮を伴う楽しさがありますが、損失を抑え続けることは、地味で忍耐が求められる作業です。そして今日お話ししたいのは、この「守り」の領域でAIがいかに大きな力を発揮するか、という話です。
まず、リスク管理とは何かを整理させてください。リスク管理とは「損失を予測して避けること」だけではありません。「損失が発生したときに、それを許容範囲内に収める仕組みを持つこと」、そして「想定外の事態に備えて柔軟に対応する準備をしておくこと」──この三つが揃って初めて成立します。
従来、これらは経験豊富なファンドマネージャーが担ってきました。相場の空気を読み、過去の似た局面を思い出し、感覚的に判断を下す。しかし人間である以上、感情や疲労、思い込みといったバイアスから完全に自由になることはできません。ここにAIが入り込む余地があります。
AIが得意とするのは、まず膨大なデータを休むことなく監視し続けることです。株価、為替、金利、経済指標、さらにはニュース記事やSNSの感情分析まで、人間なら見落としてしまう変化の兆しを24時間キャッチできます。私たちdom株式会社でも、複数の市場変数を同時に追跡し、リスク指標が閾値を超えた瞬間にアラートを出す仕組みを運用しています。
次に、AIはポートフォリオのバランスを冷静に保ちます。人は含み益が出ている銘柄を手放したくない、含み損の銘柄は「戻るはず」と保有し続ける傾向があります。しかしAIは感情を持ちません。あらかじめ設計されたルールに従って、淡々とリバランスを実行します。この「淡々と」がリスク管理においては何より貴重なのです。
一方で、私はAIを万能とは考えていません。AIは過去のデータから学びますが、市場には必ず「初めての出来事」が訪れます。リーマンショックもコロナショックも、AIにとっては未経験の局面でした。だからこそ最終的な戦略判断は人間が担い、AIには「実行と監視」を任せる。この役割分担が、現時点で最も現実的で強い体制だと考えています。
投資初心者の方に伝えたいのは、AIを「儲けさせてくれる魔法」と捉えないでほしいということです。むしろ「あなたの資産を静かに守る番人」として付き合うと、その真価が見えてきます。
守りを固めれば、攻めは自然と余裕を持って行えます。dom株式会社は、これからもAIとともに「守れる投資家」を増やしていきたいと思っています。